安価で美味しく、手軽な大きさなので世代を問わずに人気の中華まん。多くの人に親しまれている一方で、消費期限が短い点や冷凍すると食感が変わってしまうデメリットがあります。この記事では中華まんの食感を保ったまま、急速冷凍に成功した事例や冷凍保存する際の課題についても紹介します。
中華まんは皮と具で食材がちがいます。皮と具の絶妙なバランスが重要で、それぞれの特性が異なるため、冷凍する際には皮にも具にも対応した双方の良さを損なわない冷凍を行う必要があります。
特に、中華まんの皮は通常の冷凍庫で冷凍したものを解凍すると、水分が抜けてしまい、柔らかさが失われてしまいます。具に関しても肉まんやあんまん、それぞれの特性を踏まえての冷凍・解凍が求められます。
山口県にて餃子・焼売・ポリドリンク・スティックゼリー・ピザ・中華饅頭の製造販売を行っている農水フーヅ株式会社では、品質の向上や計画生産、生産効率改善のために、中華まんの発酵から蒸し、さらには冷却行程までワンストップで行える急速冷凍装置を導入しました。
中華まん表面の乾燥も抑制できることや、少し冷却時間を伸ばすことで3D凍結も可能になったことで、顧客からの要望もあるようです。全部で6ライン用意し、すべてがワンストップにて運用可能な環境を整えたことで作業効率も高まっているとのことです。
スーパーマーケットの生鮮食品・惣菜販売を行っている株式会社ダイキョープラザ。ダイキョープラザでは、毎年「お弁当・お惣菜大賞」にエントリーし、2022年まで11年間連続でお惣菜大賞を受賞するなどお惣菜に力を入れていました。
その中で、2022年から力を入れることになったのが、手作りの肉まんでした。そこで、急速冷凍装置の「3Dフリーザー」を導入しました。
急速冷凍装置を活用することで、冷凍時の生地の乾燥を防ぐとともに、肉汁のジューシー感や美味しさをキープできたとのこと。短時間でしっかりと冷凍できることから、作業時間の短縮が効率的な生産をもたらしました。
冷凍中華まんで人気の井村屋は、定番商品の冷凍中華まんにて急速冷凍を活用しています。生地の保水力を高めるため、通常1回しか行わない発酵作業を包む前後で2回行い、かつ自社で炒めた玉ねぎを独自配合するなど工夫を施した後、蒸してからの急速冷凍。これにより、電子レンジでの解凍後もふっくら感を楽しめます。
井村屋はあんこをメインとした商品から始まった企業ですが、冷凍肉まん・あんまんをきっかけに、急速冷凍を活用し、さらなる冷凍食品事業の拡大に力を入れています。
オンラインで中華まんを取り扱っている福楼は、豚まんとあんまんをラインナップしています。それぞれ急速冷凍を活用して商品を開発しており、旨味が逃げないよう、迅速に冷凍して商品を発送しています。また、解凍は電子レンジで加熱するだけ。出来たて・作りたてを手軽に実現できる点と併せて同社の豚まんの魅力となっています。
中華まんを急速冷凍することで、食感を損なわずに冷凍・解凍ができます。具材の柔らかさや味を損ねることなく、まるで出来立て・作りたてのような中華まんを実現できるのはお店にとってうれしいポイントです。
また、中華まんは元々消費期限が短いものでした。これは外側の皮部分に起因するものですが、急速冷凍・解凍することで消費期限を延ばすことができるため、新商品の開発も可能になります。これまで「食感が損なわれるから」と諦めていた具材の商品化も見えてくることでしょう。他にも冷凍状態での輸送・保存が可能になることで冷凍状態での販売など、販売・提供形態が多様化されます。
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製品名 | 3Dフリーザー (KOGASUN(旧:古賀産業)) |
プロトン凍結 (菱豊フリーズシステムズ) |
トンネルフリーザー (タカハシガリレイ) |
リジョイスフリーザー (米田工機) |
凍眠 (テクニカン) |
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冷凍能力 | 8~500㎏/1時間 | 3~300kg/1時間 | ※WEB上に情報なし | 1.5~100㎏/1時間 | 15~650kg/1時間 |
導入事例 | 41件 | 10件 | 17件 | 28件 | 22件 |
設立 | 1969年 | 1999年 | 1960年 | 1973年 | 1988年 |
事例ありの 冷凍可能な食材 |
魚・魚加工/肉・肉加工/菓子/惣菜/パン/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜 | 魚・魚加工/肉・肉加工/パン | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 |
選定基準:2024年11月12日時点Google検索で100位まで検索した急速冷凍機26社のうち導入事例が多いメーカー5社をピックアップしました。