生食や酒蒸し、フライなどで人気の牡蠣ですが、その独特の風味を長期的に維持させることは難しいとされてきました。ところが昨今では、急速冷凍の技術により高鮮度の状態を長期的に維持することに成功しています。解凍して美味しく生食できる牡蠣も、ネット通販等で広く販売されるようになりました。
ここでは、急速冷凍牡蠣の課題、課題解決事例、急速冷凍牡蠣のメリットなどをご紹介しています。
鮮度と味が比例すると言われる牡蠣。一般的な冷凍(緩慢冷凍)では鮮度も味も低下するため、生食や酒蒸しなど「牡蠣本来の風味」を楽しむ料理には向かず、牡蠣フライやパスタなどの限られた料理のみに適しているとされていました。
緩慢冷凍した牡蠣の味が低下する理由の1つが、牡蠣の細胞破壊です。細胞破壊を極力抑える形で冷凍すれば味の低下も和らぎますが、そのためには急速冷凍などの特殊な技術が必要となります。
全国の百貨店や市場などに向け、安全で美味しい冷凍牡蠣を出荷していたという株式会社カネウ(広島)。以前は一般的な業務用冷凍庫による「緩慢冷凍」で牡蠣を冷凍していましたが、株式会社コガサンの3Dフリーザー®による「急速冷凍」を導入したことで、以前よりも高い鮮度・品質・風味を維持しながら商品を出荷できるようになりました。
鮮度や味だけではなく、牡蠣の加工にかかる時間の短縮につながったことにも満足しているとのことです。
タイで開催されていた機械の展示会において、急速冷凍機で作ったサンプル品として急速冷凍牡蠣を来場者に提供した株式会社ケンスイ。現地では「この牡蠣が美味しい」と評判となり、これをきっかけに日本貿易振興機構(ジェトロ)の協力を得て、急速冷凍牡蠣の海外販路の構築を目指しました。
企画の実現が難航する中、2018年、香港向けに10ケース、インドネシア向けに2ケースの初輸出を実現。急速冷凍牡蠣の美味しさを海外の美食家に浸透させ、さらなる販路拡大へとつなげていきたい考えです。
株式会社テクニカン(横浜市)は、宮城県某所において、自社が開発した冷凍技術による急速冷凍牡蠣のサンプリング品を作りました。生牡蠣を剥き身にし、トレイに並べて10分ほどで急速冷凍。そのあと、脱気パックを行います。
解凍して試食したところ、生牡蠣と変わらない味が実現。プロの方々も驚いたとのことです。より良質な状態での急速冷凍を目指し、同社はさらなる研究を続けています。
牡蠣を急速冷凍することで、牡蠣の細胞破壊を抑制できるため、解凍後も牡蠣本来の風味が維持することが可能となりました。牡蠣フライ等の加熱料理はもちろんのこと、牡蠣の風味をそのまま楽しむ生食にも適した食材となります。解凍状態で鮮度を維持したままストックができますので、食品ロスや在庫リスクを最小限に抑えることもできます。
また、国内では至るところに牡蠣小屋がありますが、牡蠣小屋で提供するサイドメニュー(エビやイカなど)もあわせて急速冷凍しておけば、鮮度の良い食材のみを使った良質な牡蠣小屋として人気を集めることができるようになるでしょう。
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製品名 | 3Dフリーザー (KOGASUN(旧:古賀産業)) |
プロトン凍結 (菱豊フリーズシステムズ) |
トンネルフリーザー (タカハシガリレイ) |
リジョイスフリーザー (米田工機) |
凍眠 (テクニカン) |
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冷凍能力 | 6~400㎏/1時間 | 3~150㎏/1時間 | ※WEB上に情報なし | 1.5~100㎏/1時間 | 14~560㎏/1時間 |
導入事例 | 21件 | 10件 | 4件 | 17件 | 16件 |
設立 | 1969年 | 1999年 | 1960年 | 1973年 | 1988年 |
事例ありの 冷凍可能な食材 |
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