急速冷却機(ブラストチラー)は、加熱直後の料理を短時間で安全温度に落とし、衛生・品質・作業効率を同時に高める要となる機器です。本記事では、危険温度帯の考え方と国内基準、HACCPに沿った記録、予冷・チル・ショックフリーズの使い分け、芯温・庫内・タイマー制御、料理別の運用、クックチル/ニュークックチルの保存と再加熱、逸脱時の是正までを実践目線で整理します。
急速冷却機(ブラストチラー)は強制対流の冷風で、加熱直後の食品の中心温度を短時間に0〜10℃付近まで引き下げるための機器です。危険温度帯の滞在時間を最小化しつつ香り・色・食感を保ち、仕込み前倒しや提供スピードの安定化に寄与します。終了判定は芯温の到達を基本とし、厚みや装填量に合わせて設定を調整します。
冷蔵庫・冷凍庫は「保管」機器であり、熱い料理の温度降下を担う前提ではありません。高温投入は庫内全体の温度逸脱や二次汚染のリスクを高めます。急速冷却は急速冷却機(ブラストチラー)で行い、到達後に保管機器へ引き継ぐ工程分離がHACCP上も実務上も合理的です。
チルは冷蔵帯まで急冷する工程、ショックフリーズは凍結工程です。一体型機でチル到達後に凍結へ連続移行すれば、危険温度帯の通過を確実にしつつ在庫運用を安定化できます。両工程とも到達温度と時刻を記録し、冷蔵は0〜10℃、凍結保管は−18℃未満を基準に接続します。
一般に10〜60℃が危険温度帯で、とくに20〜50℃は増殖が活発です。加熱後は速やかに冷却を開始し、短時間で10℃付近まで到達させる目標を設けます。常温放置を挟まず、温度降下の連続性と所要時間を把握・標準化することが基本です。
冷却の開始・終了時刻、芯温や庫内温度、装填条件、逸脱時の是正を追跡可能な様式で残します。誰がいつ何をどう測定し、どの基準で判定したかが一目で分かる記録と、計測機器の校正履歴の紐付けが監査対応を滑らかにします。
予冷不足による冷却遅延、到達判定の根拠不足、時刻未記録、装填過多や風路遮断、保管工程での温度逸脱、動線や器具区分の不徹底が典型です。予冷開始条件、装填上限、容器深さ、トレイ間隔、保管受け入れ条件、是正フローをSOPに明記します。
予冷は庫内リバウンドを抑えて立ち上がりを安定化させます。チルは危険温度帯を短時間で通過させる主工程、長期保管や物流が必要ならチル到達後にショックフリーズへ連続移行します。目的(衛生・提供スケジュール・品質)で工程を設計します。
芯温制御は厚物でも過不足を抑えやすく、庫内制御は薄物・均一形状に向きます。タイマーは既知条件の補助にとどめ、終了時は芯温などの到達根拠で裏づけます。計測機器の校正と記録保存は必須です。
液体は浅く広げて表面積を確保し、揚げ物や繊細品は風の当て方・距離・積載密度を調整します。厚物肉は芯温判定を前提に、浅い容器とトレイ間隔で風路を確保します。装填が増えるほど冷却は遅れるためロット上限と是正手順を標準化します。
庫内を設定まで予冷し、芯温計やプローブ、トレイを洗浄・消毒・乾燥します。汚染/非汚染の区分と手洗い手順、器具の用途別管理をSOP化し、加熱終了時刻から逆算して冷却・保管・再加熱までの導線を事前に確保します。
浅型容器・薄盛りが冷却効率の要です。熱いまま密閉せずチル到達までは通気を確保し、到達後に衛生的に密閉へ切り替えます。揚げ物は一時的に網で蒸気や油分を逃がし、米飯は広げて余熱と水蒸気を処理してからチルへ移行します。トレイ間隔を保ち過積載を避けます。
最も冷えにくい部位で芯温を測り終了判定します。プローブは洗浄・消毒・乾燥を徹底し、測定時刻と測定者、機器の校正履歴と紐付けます。降下が遅い場合は装填・配置・容器深さ・風の当て方を見直し、タイマーのみでの終了は避けます。
到達後は速やかに密閉し、冷蔵は10℃以下、クックチル設計では0〜3℃で保管します。表示・記録は法令と自社HACCPに整合させ、先入れ先出しや扉開閉の最小化で温度安定を図ります。搬入・搬出時刻と温度も継続記録します。
浅く広げて対流を確保し、具入りは固形部を最遅冷部として判定します。密閉はチル到達後に切り替え、長期運用は凍結へ接続します。提供時は再加熱で中心温度の到達を確認し、温度履歴を記録で裏づけます。
蒸気と油分を適切に逃がしてからチルへ移行し、衣の乾燥や飛散を避ける配置と積載に調整します。凍結運用はチル到達判定後に密閉し、保管は−18℃未満を維持します。提供時は安全な再加熱条件を守ります。
余熱と水蒸気を処理してから浅く広げてチルし、危険温度帯の滞在を短縮します。保管では温度逸脱を避け、提供時は中心温度の到達確認と記録を徹底します。品質の最適化は施設内検証で作業標準に落とし込みます。
余熱上昇を見越して適切なタイミングでチルへ移行し、浅い容器で下面からの放熱を助けます。到達→密閉→必要に応じて凍結→保管の順序を明確化し、提供時は中心温度が安全域へ戻ったことを確認します。
風の当て方や露出時間が品質に影響するため、配置と積載を調整し、到達後に衛生的に密閉します。解凍や再加熱を伴う提供形態では、衛生基準を満たす温度管理を最優先に、施設内検証でSOP化します。
急速冷却後に0〜3℃で保管し、提供直前に再加熱する方式です。国内手引きでは、工程管理と微生物検証を前提に「調理日と提供日を含め5日以内」を設計目安として示しています。在庫はこの期間で確実に回転させ、温度逸脱の監視と是正を組み込みます。
凍結到達後は−18℃未満で保管し、受け入れから解凍・再加熱まで温度履歴を一貫管理します。在庫期間は製品特性で大きく異なるため一律値に頼らず、施設ごとの官能・歩留まり・微生物検証で自社基準を設定します。先入れ先出しとロット管理を徹底します。
再加熱は10〜60℃帯を迅速に通過させ、中心75℃・1分以上を一般基準に確認します。ニュークックチルは盛付後に器ごと再加熱し、冷料理は10℃以下、温料理は65℃以上で受け渡す導線を設計し、再加熱完了から配膳完了までを最短化します。
予冷不足、装填過多、深い容器、風路遮断、時間頼みの終了が主因です。予冷の徹底、浅型容器・薄盛り、トレイ間隔、芯温確認の標準化で是正します。到達後は速やかに保管へ移行し、過度の冷やし過ぎも避けます。
到達前は通気、到達後は衛生的密閉へ切り替え、風の当て方と露出時間を適正化します。区域区分、手洗い・器具消毒、用途別管理、水の管理など基礎衛生をSOP化し、点検で運用率を高めます。
冷えの遅延や霜付き、庫内温度不安定はフィルター詰まりやドアパッキン劣化、予冷不足が疑われます。日常点検と定期清掃・部品交換、装填上限と扉開閉最小化の遵守で性能の再現性と省エネを両立します。
急速冷却機(ブラストチラー)は危険温度帯の迅速通過によって衛生と品質を両立し、歩留まり・再現性・提供速度を底上げします。法令・手引きに沿った冷却開始と芯温到達判定、開始・終了時刻の記録、冷蔵0〜10℃・凍結−18℃未満の管理、再加熱と配膳導線の設計を標準化し、逸脱時の是正と設備点検をPDCAで回すことで、監査に強く現場で運用しやすい仕組みが定着します。
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製品名 | 3Dフリーザー (KOGASUN(旧:古賀産業)) |
プロトン凍結 (菱豊フリーズシステムズ) |
トンネルフリーザー (タカハシガリレイ) |
リジョイスフリーザー (米田工機) |
凍眠 (テクニカン) |
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問い合わせ先 |
![]() 引用元HP:KOGASUN(旧:古賀産業) 公式 |
![]() 引用元HP:菱豊フリーズシステムズ 公式 |
![]() 引用元HP:タカハシガリレイ 公式 |
![]() 引用元HP:米田工機 公式 |
![]() 引用元HP:テクニカン 公式 |
冷凍能力 | 8~500㎏/1時間 | 3~300kg/1時間 | ※WEB上に情報なし | 1.5~100㎏/1時間 | 15~650kg/1時間 |
導入事例 | 41件 | 10件 | 17件 | 28件 | 22件 |
設立 | 1969年 | 1999年 | 1960年 | 1973年 | 1988年 |
事例ありの 冷凍可能な食材 |
魚・魚加工/肉・肉加工/菓子/惣菜/パン/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜 | 魚・魚加工/肉・肉加工/パン | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 |
選定基準:2024年11月12日時点Google検索で100位まで検索した急速冷凍機26社のうち導入事例が多いメーカー5社をピックアップしました。