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クックチルとクックフリーズの違い

現代の食事提供の現場では、効率よくかつ安全性を保ちながら多くの料理を作り出すことが求められています。こうしたニーズに応えるために開発・普及したのが「クックチル」と「クックフリーズ」という新調理システムです。これらは一度加熱調理を行ったあと、食品を急速に冷却もしくは凍結し、再加熱して提供する方式を指します。病院や学校、介護施設など、衛生面や効率性が強く要求される環境では特に有用とされています。本記事では、それぞれの仕組みや共通点・相違点、利点と課題について解説し、最後にまとめとして要点を整理します。

クックチルとクックフリーズそれぞれの仕組みと調理工程

クックチル方式の流れ

クックチルでは、まず通常の加熱調理を行ったうえで、すぐに専用の急速冷却装置(ブラストチラーなど)を用いて30分以内に食品を一気に冷却します。食品の中心温度を3℃以下に素早く下げることで、食中毒の原因となる細菌の増殖温度帯(約10~60℃)を短時間で抜ける仕組みです。

一度急速冷却を終えた食品は、0~3℃程度の低温状態で保存します。これにより、比較的短い期間(おおむね製造日含め5日程度)であれば安全性と品質を高い水準で維持できます。提供直前には必要量だけを取り出し、再度加熱して利用者に提供します。こうすることで、ピーク時の厨房オペレーションを分散できるうえ、衛生管理を徹底することが可能です。

クックフリーズ方式の流れ

一方のクックフリーズは、加熱調理まではクックチルと同様ですが、その後は30分以内に急速凍結を開始し、約90分以内に食品の中心温度を-5℃以下、最終的には-18℃程度まで一気に凍結します。こうして冷凍状態にすることで、最大8週間ほどの長期保存が可能になるのが大きな特徴です。

保存期間が長いメリットとしては、需要に合わせてまとめて生産し、使いたいときに解凍・加熱することで効率を高められる点が挙げられます。ただし、解凍する際には時間と手間がかかり、解凍工程を適切に管理しないと食品の品質が損なわれる可能性もあります。

クックチル」とクックフリーズ」に共通する特徴

加熱後の温度管理で食中毒リスクを低減

両システムの最大の共通点は、加熱した食品を「危険温度帯」を極力速やかに通過させることです。急速に冷却・凍結することで、菌が増殖しやすい温度帯に食品が長時間とどまるのを防ぎます。その後も厳格な温度管理を続けることで、提供時点まで安全性を保つ仕組みです。

大量調理と提供タイミングの分離

従来の調理形態では、「調理と即時提供」が基本でした。しかしクックチルやクックフリーズを活用すれば、一度に大量に調理してから冷却・凍結し、必要な分を必要なときに再加熱して提供できます。これにより、ピーク時の厨房作業を平準化できるとともに、人員の配置や設備の稼働をより計画的に行えます。

食品ロスの削減

長期・短期を問わず保存がしやすくなることで、余ってしまう料理を無駄にしにくい点も共通しています。クックチルは数日間、クックフリーズでは数週間から数か月単位で保管が可能なため、需要の波を見越しておけば大量廃棄を減らすことに貢献します。

クックチル」とクックフリーズ」の異なる点とは何か

保存期間

クックチルでは冷蔵状態での保存が基本となり、目安としては製造日を含めて5日程度が限界とされています。一方、クックフリーズでは冷凍保存が前提となるため、最大8週間程度まで鮮度を保持できます。この差によって、運用方法や施設での在庫管理の仕方が大きく変わります。

設備投資の規模

どちらも専用の急速冷却・凍結装置が必要ですが、クックフリーズの場合は冷凍庫も含めた大容量の設備が不可欠です。そのため、導入コストはクックチルに比べて高くなる傾向にあります。また、保存庫にかかる電気代などのランニングコストも上昇します。

味・食感への影響

クックチルは冷蔵保存なので、加熱調理直後の風味や食感を比較的再現しやすい点が強みです。一方のクックフリーズは急速凍結による品質保持技術が進歩しているものの、解凍の段階で細胞組織が変化しやすく、特に水分が多い食材では食感や香りの変化が生じる場合があります。

解凍工程の有無

クックチルでは冷蔵保存なので提供の際は再加熱だけで済みますが、クックフリーズではいったん冷凍庫から取り出し、解凍工程を経てから再加熱する必要があります。解凍には時間と温度管理が求められ、作業手順が増えるという面でも運用が複雑になります。

クックチルとクックフリーズのメリット

衛生管理がしやすい

加熱した食品を短時間で冷やす(凍らせる)工程があるため、菌増殖が活発になる温度帯を早急に抜けられます。加えて、保管温度を明確に決めることで、食中毒を防ぐ取り組みを体系的に行えます。

大量調理が可能

ピーク時の提供に合わせて仕込みを集中的に行う必要がなくなり、調理スタッフの作業負担が分散されます。また、大量調理→保存→必要分のみ再加熱という流れが確立されると、調理にかかる手間と時間が読みやすくなります。

人員配置とコスト削減

調理工程を事前に行えるため、運営側はシフトや人件費を最適化できます。繁忙時にもあわてず、計画的に提供を続けられるため、予期せぬトラブルも起こりにくくなります。また、必要以上に人を配置する必要がなくなることで、人件費の抑制にもつながります。

食品ロスの低減

クックチルの場合は数日間、クックフリーズではさらに長い期間保存可能です。これによって「思ったより提供数が少なかった」という際でも、すぐに廃棄する必要がなく、在庫を有効活用できます。結果として、食品ロスの削減につながります。

クックチルとクックフリーズのデメリット

初期投資や維持コストの高さ

急速冷却・凍結機器の導入にはまとまった資金が必要です。特にクックフリーズ方式に必要な大型の凍結設備は、冷却装置の中でもさらに高額になる傾向があります。加えて、その設備を稼働し続ける電気代やメンテナンス費用も考慮しなければなりません。

食感や風味の変化

冷蔵保存であっても日数を重ねれば多少の変化は避けられません。冷凍の場合は解凍工程で水分が抜けたり、細胞膜が壊れたりして食感が変化しやすいです。鮮度や風味を重視する料理は、どうしても調理直後には及ばない部分が出てきます。

管理・運用体制が複雑

冷却温度や保存温度、保存期間などをしっかりと記録・管理する必要があります。クックチルでは数日のサイクル、クックフリーズでは数週~数か月のサイクルを管理するため、在庫管理やロット管理がやや煩雑になります。加えて、解凍工程が存在する場合はそのタイミングや方法を誤ると、品質にも大きく影響する点に注意が必要です。

保存スペースが必要

どちらの方式も、いったん調理済みの食品を保管するための専用スペース(冷蔵庫や冷凍庫)が必要です。特にクックフリーズは長期保存が可能なぶん、在庫量が増える傾向にあるので、施設の規模に合わせた大容量設備を確保しなければなりません。

まとめ

クックチルとクックフリーズはいずれも、調理後の食品を安全に保管しつつ提供までの工程を分けることで、効率的な運用や衛生面のリスク低減を実現する手法です。クックチルは短期間(数日)の保存に向き、風味・食感の保持に優れています。一方でクックフリーズは保存期間が長いため、大量生産や在庫管理の柔軟性が高まる反面、解凍工程や設備投資の面でハードルが高くなる傾向があります。

自施設のニーズや予算、提供する料理の種類によって、どちらかあるいは両方を使い分けることが重要です。運営者としては、保存期間や調理負担、導入コスト、さらには品質面での優先度を見極めながら検討を行うとよいでしょう。いずれの場合も、適切な温度管理と衛生管理を徹底することが、安全で美味しい食事を提供するうえでの最大の鍵となります。

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製品名 3Dフリーザー
(KOGASUN(旧:古賀産業))
プロトン凍結
(菱豊フリーズシステムズ)
トンネルフリーザー
(タカハシガリレイ)
リジョイスフリーザー
(米田工機)
凍眠
(テクニカン)
問い合わせ先
KOGASUN(旧:古賀産業)

引用元HP:KOGASUN(旧:古賀産業) 公式
https://www.landingpage-synergy.com/3dfreezer/

公式HP

菱豊フリーズシステムズ

引用元HP:菱豊フリーズシステムズ 公式
http://www.proton-group.net/top/

公式HP

タカハシガリレイ

引用元HP:タカハシガリレイ 公式
https://www.galilei-tm.co.jp/

公式HP

米田工機

引用元HP:米田工機 公式
https://kyusokureitoki.jp/

公式HP

テクニカン

引用元HP:テクニカン 公式
https://www.technican.co.jp/product-info/tomin/

公式HP

冷凍能力 8~500㎏/1時間 3~300kg/1時間 ※WEB上に情報なし 1.5~100㎏/1時間 15~650kg/1時間
導入事例 41件 10件 17件 28件 22件
設立 1969年 1999年 1960年 1973年 1988年
事例ありの
冷凍可能な食材
魚・魚加工/肉・肉加工/菓子/惣菜/パン/麺 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜 魚・魚加工/肉・肉加工/パン 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺

選定基準:2024年11月12日時点Google検索で100位まで検索した急速冷凍機26社のうち導入事例が多いメーカー5社をピックアップしました。