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急速冷却機(ブラストチラー)とクックチルシステムの関係

クックチルシステムとは、調理した食品を一旦高温の状態で加熱調理し、その後できるだけ素早く冷却して低温帯に保管し、提供時に再加熱する調理方式です。これにより、菌が増殖しやすい温度帯を短時間で通過させることが可能となり、食中毒などのリスクを大幅に低減できる点が特長です。また、事前に加熱調理を済ませておくため、ピーク時の提供作業を効率化できるという魅力もあります。

このシステムで重要な役割を担うのが「ブラストチラー」です。ブラストチラーは、庫内に強力な冷却空気を循環させ、高温になった食品を短時間で冷却する機器です。冷却に時間を要してしまうと、菌の繁殖リスクが高まり、食品の風味や栄養価も落ちやすくなるため、食品衛生と品質維持の観点から見ると、この急速冷却工程は欠かせません。ブラストチラーを上手に導入することで、限られた人員での大量調理を実現しつつ、安全でおいしい食品提供が期待できます。

クックチルシステムの概要と導入メリット

クックチルの基本概念と急速冷却の役割

クックチルシステムの最も大きなポイントは、「調理後の食品をできるだけ素早く冷やして菌の増殖しやすい温度帯を避ける」というところにあります。多くの細菌は、摂氏10℃~60℃程度の範囲で急激に繁殖する特性がありますが、クックチルでは調理直後の高温状態から一気に10℃以下、あるいは3℃前後まで冷やします。これを短時間で行うことで、食品を安全な状態に保ちやすくなるわけです。

この急速冷却を担う機器がブラストチラーです。庫内で強力なファンや冷却システムが稼働し、高温の食品のまわりに冷風を循環させることで短時間で芯温を下げます。加えて、加熱や再加熱を前提とする調理方式でもあるため、衛生面だけでなく、スタッフの作業負担を減らしながら調理できる点も注目されています。

品質保持・食品ロス削減の効果

クックチルシステムでは、調理済みの食品が長期間低温帯に保管されます。一般的には0~3℃の環境で数日間保存が可能となるため、必要な量だけを提供のタイミングで再加熱できるのが大きなメリットです。その結果、一度に大量の調理を行っても無駄が減り、食品ロスを抑えられます。

加えて、急速冷却を行うことで栄養や風味が保たれやすくなり、再加熱した際の食感の損失を最小限に抑えられます。特に病院食や介護施設などで求められる「安定した品質」と「衛生面の確保」を同時に実現しやすい点が評価されています。施設によってはピーク時だけでなく、利用者の個々のスケジュールに合わせて食事を再温めることも可能となり、柔軟で質の高いサービス提供を行えるようになります。

ブラストチラーの仕組みと活用

ブラストチラーは、庫内の温度を低く保ちつつ、高風量の冷気を食品に当て続けることで、素早く食品の芯まで冷却する装置です。食品を適切に冷やすために、冷却開始時の食品の配置方法や、庫内の風の流れを考慮する必要があります。多くの場合、ブラストチラーの庫内には段が用意されており、食品を載せたバットやホテルパンを空気の流れを遮らないように隙間を確保して置くことがポイントです。

急速冷却の技術とHACCP対応

食材の衛生管理において、HACCP(危害分析重要管理点)方式が取り入れられている現場では、食品の温度管理が徹底されます。加熱後の食品は、あらかじめ決められた時間内に菌が増殖する危険温度帯を通過しなければなりません。そこでブラストチラーの急速冷却が効果を発揮します。

ブラストチラーは、ファンの風量や庫内の冷却力を制御し、食品の芯温度が十分に低下するまで休むことなく強力に冷却を続けます。このプロセスを記録し、必要に応じて温度履歴をチェックすることで、HACCP基準を守りながら安全な食品を提供できます。また、最近ではIoT技術を活用し、温度センサーとクラウドを連携させて自動で履歴管理を行うシステムも登場しており、一層確実な衛生管理が可能となっています。

ブラストチラーの選び方と運用ポイント

容量・冷却性能・操作性の比較

ブラストチラーを選ぶ際は、まず必要とする冷却容量を考慮します。小規模の飲食店やキッチンではコンパクトなモデル、大量調理を行う病院や介護施設、セントラルキッチンなどでは大容量モデルが求められるでしょう。単に大きければよいというわけではなく、日常的に扱う食品量と調理スケジュールに適した大きさを選ぶことが大切です。

冷却性能については、食品を何分程度で何℃まで下げられるかが重要な比較ポイントになります。モデルによっては、よりパワフルな冷却ファンや効率の高いコンプレッサーを搭載しており、短時間で食品温度を下げられる場合もありますが、そのぶん価格が上がる傾向があります。導入の際は投資額とランニングコストのバランスをしっかり検討しましょう。

操作性の面では、温度や時間の設定がシンプルに行えるタッチパネルやデジタル制御が便利です。調理スタッフが誰でも同じように扱えるユーザーフレンドリーなインターフェースであることは、作業の正確性に直結します。

メンテナンスと省エネ運用のコツ

ブラストチラーを長く使うためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。庫内の清掃はもちろん、ファンやフィルター部分の汚れは冷却効率を落とす原因になるため、定期的な点検・交換が望まれます。また、庫内に霜が付着しやすい機種の場合は、霜取り機能を活用し、運転終了後のタイミングでしっかりと除去するのが基本です。

省エネ運用に関しては、ブラストチラー稼働の時間帯を見直すことも検討の余地があります。電力料金が安い深夜帯にある程度冷却を行った上で、昼間の負荷を減らすという方法が一例です。さらに、食品を庫内に入れる順序や詰め込み方によっても、冷却効率が大きく変わります。冷却対象の食品の厚みをできるだけ均一にする、重ならないようにスペースを確保するといった工夫で、トータルの電力消費を抑えられます。

補助金・コスト削減の活用方法

ブラストチラーは導入に一定のコストがかかるため、設備投資として大きな負担に感じる施設も少なくありません。しかし、国や地方自治体では、省エネルギー機器の導入や、中小企業の生産性向上を目的とした補助金制度を設けている場合があります。小規模事業者持続化補助金や省エネ投資を支援する補助金が代表的な例です。これらを上手に活用することで、導入費用の一部を補填し、初期投資の負担を軽減できる可能性があります。

さらに、ブラストチラーの導入によって作業のピークを分散できるようになると、人件費や廃棄ロスの削減につながります。結果として、ランニングコストを抑えられるだけでなく、労働環境の改善効果も期待できるでしょう。設備投資による長期的メリットを見越して、調理プロセスの設計やスタッフの運用体制なども含め、トータルでコスト削減を検討すると最適な導入が可能です。

クックチルシステムとブラストチラーは、食品を衛生的かつ効率的に扱うための強力な手段です。食の安全がますます求められる社会において、こうした調理方式や機器の存在意義は年々高まっています。適切な知識を持って導入と運用を行えば、食品の品質を保ち、労働負担を軽減しながら、コスト面でも大きなメリットを得ることができるでしょう。食事の準備をさらにスムーズにし、利用者に安心で美味しい食を提供するためにも、ぜひクックチルシステムとブラストチラーの活用を検討してみてください。

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製品名 冷凍能力 導入事例 事例ありの冷凍可能な食材 設立
3Dフリーザー
(KOGASUN(旧:古賀産業))

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8~500㎏/1時間 41件 魚・魚加工/肉・肉加工/菓子/惣菜/パン/麺 1969年
プロトン凍結
(菱豊フリーズシステムズ)

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3~300kg/1時間 10件 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜 1999年
トンネルフリーザー
(タカハシガリレイ)

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※WEB上に情報なし 17件 魚・魚加工/肉・肉加工/パン 1960年
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(米田工機)

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1.5~100㎏/1時間 28件 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 1973年
凍眠
(テクニカン)

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15~650kg/1時間 22件 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 1988年

選定基準:2024年11月12日時点Google検索で100位まで検索した急速冷凍機26社のうち導入事例が多いメーカー5社をピックアップしました。