本記事では、急速冷凍機と急速冷却機(ブラストチラー)の違いについて、初心者にも分かりやすいように解説いたします。 食品を安全かつ美味しく保存するために欠かせない機器ですが、それぞれが果たす役割や適した使い方は明確に異なります。 理解を深めていただくことで、現場に合った設備選びのヒントになりますのでぜひ最後までお読みください。
急速冷却機は、高温のまま調理されたばかりの食品を短時間で冷やす装置です。 レストランや病院、惣菜店などで調理後すぐの料理に使用されることが多く、食品を熱々の状態から一気に0~10℃程度まで下げます。 狙いは、細菌が繁殖しやすい10~60℃の温度帯をすばやく通過させることにより、食中毒リスクを大幅に低減する点にあります。
さらに、加熱直後の食品を急速に冷やすことで、蒸気とともに逃げやすい水分や香りを極力損なわないよう工夫しています。その結果、再加熱したときも調理直後と遜色ないジューシーさや風味を維持しやすくなるのが大きなメリットです。 たとえばスープ類や煮物、お弁当のおかずなど、水分を多く含む料理でも、本来の味わいをキープしながら衛生的に保管できるのが特長といえるでしょう。
急速冷凍機は、すでに粗熱が取れた食品を-20℃以下(あるいは-30℃前後)まで一気に凍結させる機器を指します。 食品内部の水分を細かい氷結晶に変え、組織の破壊を抑えつつ冷凍する技術を採用しているため、解凍後の食感がほとんど損なわれません。 長期保存を目的とした大量生産の現場や、高級食材を取り扱う業者でよく利用されており、魚介類や肉などの生鮮食品を鮮度を落とさずに管理できる点で重宝されています。
この「一気に凍らせる」というプロセスが重要です。ゆっくり凍らせると氷結晶が大きくなり、食品の細胞膜を壊しやすくなります。すると解凍時にドリップが多く出て、味わいや食感の劣化を招きがちです。 一方、急速冷凍機は瞬時に低温帯へ誘導することで氷結晶の成長を最小限にとどめます。肉汁や旨味成分を逃しにくいので、解凍後の品質を高い水準で保てるというわけです。
ブラストチラーとショックフリーザーの最大の違いは、目的と使用シーンにあります。ブラストチラーは、調理済みで熱を持った食品を安全に、かつ素早く冷やしたい場合に活躍します。 煮込み料理や焼き立てのパン、揚げ物などを扱う際には、衛生面を担保するためにも欠かせません。しかも、細菌の繁殖を防ぐだけでなく、初期の香りや水分を保持できるため、盛り付け後の見映えや再加熱時の美味しさを守りやすいのです。
一方、ショックフリーザーは、食材の保存期間を長くし、解凍後もほぼ同等の品質を求める場面で使われます。業務用の大量生産ラインや、漁業・農業で獲れたてや収穫したばかりの食材をそのまま凍結したいときなどに特に有用です。 生鮮品だけでなく、日持ちを高めたいパン類や惣菜、デザート類にも応用できます。
ブラストチラーが対応する温度帯はおおむね0~10℃までです。加熱後の食品を高速冷風で一気に冷却し、食中毒リスクが増大しやすい温度域に長くとどまらせないよう制御します。 これにより、菌の増殖が活発になる前に安全な温度まで下げることが可能です。
それに対して、ショックフリーザーは-20℃以下(ときには-30℃やそれ以下の温度)まで急速に引き下げることを想定しています。 食品内部の水分を細かい結晶にするための強力な冷却システムを備えており、庫内の風速や温度調整が緻密に行われるのが特徴です。こうした急速凍結ならではの工程によって、解凍後のドリップを減らし、鮮度や旨味を維持しやすくしています。
ブラストチラーは、主に加熱後の食品の香りや水分を保持したいときに有効です。余計な水分蒸発や香気成分の散逸を抑えられるため、再加熱時に「作りたて」に近い美味しさが再現できます。 特に大量調理を行う厨房や施設では、大きな鍋やバットに入れたまま一気に冷やせることが業務効率化につながります。 また、菌増殖のリスクを下げることで衛生管理が容易になり、利用者に安心な食品を提供しやすくなるでしょう。
ショックフリーザーは、食品を長期的に保存したいときの大きな味方です。 急速に凍らせるため、素材の組織が壊れにくく、解凍後のドリップや食感の損失が最小限に抑えられます。 肉や魚などは冷凍焼けを防ぎやすく、味の劣化を抑制できる点も大きいメリットです。コストや廃棄リスクの低減にもつながるため、在庫管理においても重要な役割を果たします。
最近では、ブラストチラーとショックフリーザーの両方の機能を併せ持ったハイブリッド機が登場しています。一台で急速冷却と急速凍結を切り替えて使えるため、省スペースや導入コストの削減につながるメリットがあります。 ただし、両方の機能を兼備する分だけ設計が複雑になるため、運用やメンテナンスが難しくなるケースも考えられます。 導入前には、使用頻度や厨房の動線、衛生管理の体制などをしっかり検討すると良いでしょう。
もしも大量の調理済み食品を扱う現場であれば、ブラストチラーが複数台必要になる場合もあります。 逆に、鮮魚や高級肉などの品質を落とさずに長期保存を行うには、高性能なショックフリーザーを導入する価値があります。 どちらを優先するかは、日々のオペレーション内容や扱うメニューの特徴により異なります。
急速冷却機(ブラストチラー)は、高温のままの料理を一気に冷やすことで、安全性と美味しさを高める装置です。調理直後の水分や香りを保ちつつ、菌が増殖しやすい温度帯を素早く抜けるため、食中毒リスクの低減に大きく寄与します。 一方、急速冷凍機(ショックフリーザー)は、常温や冷却後の食品を一気に凍らせることで細胞膜の破壊を防ぎ、解凍後もほぼ同じ食感と風味を保つことを実現します。 どちらの機器も、食品をより安全・美味しく扱うために重要な存在ですが、目的や使用シーンが大きく異なる点に注意が必要です。
それぞれの特性を理解して使い分ければ、調理の効率化と品質向上を同時に図ることができます。 加熱直後の衛生管理に力を入れたいならブラストチラー、長期保存や高鮮度を求めるならショックフリーザー、といった形で明確に選択すれば、食品の価値を最大限に引き出せるでしょう。 運用規模やメニュー構成を踏まえて適切な機器を導入し、食品衛生と味わいの両面で満足度の高い現場づくりを目指してみてください。
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製品名 | 3Dフリーザー (KOGASUN(旧:古賀産業)) |
プロトン凍結 (菱豊フリーズシステムズ) |
トンネルフリーザー (タカハシガリレイ) |
リジョイスフリーザー (米田工機) |
凍眠 (テクニカン) |
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問い合わせ先 |
![]() 引用元HP:KOGASUN(旧:古賀産業) 公式 |
![]() 引用元HP:菱豊フリーズシステムズ 公式 |
![]() 引用元HP:タカハシガリレイ 公式 |
![]() 引用元HP:米田工機 公式 |
![]() 引用元HP:テクニカン 公式 |
冷凍能力 | 8~500㎏/1時間 | 3~300kg/1時間 | ※WEB上に情報なし | 1.5~100㎏/1時間 | 15~650kg/1時間 |
導入事例 | 41件 | 10件 | 17件 | 28件 | 22件 |
設立 | 1969年 | 1999年 | 1960年 | 1973年 | 1988年 |
事例ありの 冷凍可能な食材 |
魚・魚加工/肉・肉加工/菓子/惣菜/パン/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜 | 魚・魚加工/肉・肉加工/パン | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 |
選定基準:2024年11月12日時点Google検索で100位まで検索した急速冷凍機26社のうち導入事例が多いメーカー5社をピックアップしました。