ブラストチラーのトラブルはメーカーごとにコード表記が異なりますが、原因は「通気・放熱」「負荷・使用条件」「排水」「センサー」「電源・制御」に整理できます。現場ではまず人と食品の安全を確保し、表示内容を記録したうえで上記の順に一次点検を行うと、復旧までの手戻りを抑えられます。本稿は厨房責任者や一次保全担当者が即実践できるよう、最小限のチェックと再発防止を要点だけに絞って解説します。
多くの不具合は五つの系統に収束します。通気・放熱不足では凝縮器やフィルターの目詰まり、吸排気口の遮蔽、周囲高温が能力を奪います。負荷・使用条件では投入温度の過大、トレー密着、詰め込み、扉の頻回開閉が冷却曲線を乱します。排水ではドレン詰まりや水平不良が漏水の主因です。センサーでは芯温プローブや庫内・コイル温度の断線・短絡・較正ずれが挙動を不安定にします。
電源・制御では停電復帰、時計初期化、ボタンスタック、メモリエラーなどが該当し、記録と再設定で解消する場合もあります。表示の文言が違っても、この分類に当てはめて考えると対処の道筋が見えます。
代表的な表示は扉開放、プローブ異常、温度高/低、停電履歴です。扉開放はサイクルが開始しない、もしくは中断する典型要因で、スイッチ不作動や半ドア、パッキン劣化の確認が有効です。プローブ異常は未挿入や断線、汚れの付着が原因になり、清掃と正しいモード選択で改善します。温度高/低は通気や負荷が主因のことが多く、周囲環境の是正とグリルの目詰まり解消が近道です。停電履歴や時計初期化は故障ではない場合があり、時刻再設定のうえ運転を再開し、食品の安全性は温度ログで評価します。
異音・異臭・漏電の疑いがある場合は直ちに停止し、人と食品の安全を最優先にします。扉を安易に開けず、必要に応じて予備保冷へ移送します。表示パネルは時刻とメッセージを撮影し、発生条件をメモします。この記録はHACCPやサービス依頼の要点であり、後工程での判断を速めます。停電や時計初期化の表示は復電後の設定で解消することが多い一方、履歴が示す時間帯の製品は別途基準に照らして評価します。
機器周囲のクリアランス、前面サービススペース、背面や側面の吸排気口の遮蔽を確認します。凝縮器・フィルターに埃があれば電源遮断後にフィン目に沿ってブラシ・掃除機で清掃し、高圧洗浄や放水は行いません。近接するフライヤーやスチームからの熱・湿気、直射日光も能力低下の要因になるため、配置の見直しが有効です。通気を確保できれば温度アラームや冷え不足が改善するケースが少なくありません。
投入温度が仕様範囲か、パンやトレーが密着して風路を塞いでいないか、扉開閉が多すぎないかを確認します。芯温プローブ運転とタイマー運転の設定違いは頻出ミスで、プローブ未挿入のままプローブモードを選んでいないか、または断線で誤作動していないかを点検します。扉スイッチの作動やパッキンの密閉性も同時に見直すと、冷却カーブの乱れを減らせます。
庫内や床の水溜まりはドレン詰まり、蒸発皿の不具合、間接排水の施工不良、水平不良が原因です。油脂残渣を除去し、エアギャップや落差、配管距離の据付条件を見直します。水平器で前後左右のレベリングを取り直し、床側のマットや段差による水の滞留も除去します。排水経路と設置条件を整えることで、再発率を大きく下げられます。
通気の阻害と負荷過大が最多要因です。吸気・排気口の遮蔽、凝縮器の埃、周囲高温、トレー密着や詰め込み、扉の頻回開閉を是正します。次に運転設定を見直し、プローブの清掃・正挿入とモード整合を確認します。これらを整えても改善しない場合は、センサー較正や冷媒系の不具合が疑われるため、分解を伴う作業は行わず専門業者へ切り替えます。
庫内ドレンから外部までの経路を清掃し、油脂や残渣を取り除きます。間接排水の接続条件、エアギャップ、蒸発皿の加熱状況、機器の水平を確認します。床側の水の流れを阻害するマットや段差、詰まったグリストラップも併せて点検し、環境側の改善で再発を抑えます。
表示の種類、時刻、継続時間を記録し、通気・負荷・排水の順で原因を潰します。温度系は運用見直しで収束することが多く、センサー系は配線・接点・較正が疑わしいため分解せず専門へ引き継ぎます。停電や時計表示は再設定で解消しますが、再発時は制御基板領域として依頼します。
「電源断」や「時計初期化」は故障ではない場合が多く、時刻設定とアラーム確認で通常復帰します。ただし停電の継続時間と食品の温度逸脱は別問題で、温度ログに基づく評価が必要です。復電後も冷えが悪い、アラームが連続する場合は通気と負荷を再点検し、解決しなければ制御系の診断を依頼します。
毎日は庫内・扉周り・パッキン・プローブを洗浄し、交差汚染を防ぐため使用前後に消毒します。毎週は吸気グリルとフィルターの埃を除去します。毎月は電源遮断のうえ凝縮器をブラシ・掃除機で清掃し、高圧洗浄や放水は避けます。これらの定期清掃は温度アラームの発生を抑え、安定運用に直結します。
前面サービススペースと周囲クリアランスを確保し、熱・蒸気源や直射日光を避けます。吸排気口を什器や資材で塞がない、狭所に押し込まない、背面放熱を妨げないことが重要です。排水方式は取説に従い、施工後はレベルと勾配を再確認します。設置と環境が整えば、不要なアラームや性能低下を未然に防げます。
装置のアラームログやHACCPデータを定期的に吸い上げ、サイクル完了時間、到達温度、異常発生時刻を記録します。運用や人為要因の改善点が可視化され、監査対応も迅速になります。紙記録より装置ログを基点に点検・是正を回すと、再発防止が着実になります。
清掃・設置・運用の是正後もセンサーオープン/ショート、時計・メモリ、ボタンスタックなどが再発する、あるいは冷え不足が継続する場合は専門領域です。冷媒不足や漏えい、膨張弁やファン不良はユーザー対応不可で、資格保有業者へ切り替えます。法令順守の観点からも、修理完了前の冷媒充填は行いません。
型式・シリアル、エラー表示と時刻、周囲環境とクリアランス、投入量と投入温度、サイクル設定、直近の清掃履歴、排水施工と水平確認結果、扉開閉の頻度、可能ならHACCPログを用意します。情報が揃うほど現地作業が短縮され、部品手配の手戻りを減らせます。
管理者には日常の簡易点検と、一定規模以上の機器への定期点検が求められます。漏えい時は速やかな特定と修理が義務で、修理完了までの冷媒充填は禁止です。点検・整備記録や算定漏えい量の管理も必要なため、冷媒系が疑われる場合は自己判断での充填を避け、法令順守で対応します。
年次点検、消耗品の予防交換、緊急対応SLA、ログ解析などを含む保守契約はダウンタイム低減に有効です。費用は容量・台数・環境・頻度・拠点距離で変動するため、価格だけでなく停止時間の削減効果で評価し、法定点検との重複を避ける構成にします。
エラー表記が違っても、原因を五つの系統で捉え、記録を起点に通気・負荷・排水・設置を順に点検すると、多くのトラブルは短時間で収束します。再発防止は日・週・月の清掃、設置条件の順守、ログ活用が基盤です。センサー・制御・冷媒系が疑われるときは法令に留意し、必要情報を整えて専門業者へ速やかに引き継ぐことが、食品安全と稼働率の両立につながります。
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製品名 | 3Dフリーザー (KOGASUN(旧:古賀産業)) |
プロトン凍結 (菱豊フリーズシステムズ) |
トンネルフリーザー (タカハシガリレイ) |
リジョイスフリーザー (米田工機) |
凍眠 (テクニカン) |
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問い合わせ先 |
![]() 引用元HP:KOGASUN(旧:古賀産業) 公式 |
![]() 引用元HP:菱豊フリーズシステムズ 公式 |
![]() 引用元HP:タカハシガリレイ 公式 |
![]() 引用元HP:米田工機 公式 |
![]() 引用元HP:テクニカン 公式 |
冷凍能力 | 8~500㎏/1時間 | 3~300kg/1時間 | ※WEB上に情報なし | 1.5~100㎏/1時間 | 15~650kg/1時間 |
導入事例 | 41件 | 10件 | 17件 | 28件 | 22件 |
設立 | 1969年 | 1999年 | 1960年 | 1973年 | 1988年 |
事例ありの 冷凍可能な食材 |
魚・魚加工/肉・肉加工/菓子/惣菜/パン/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜 | 魚・魚加工/肉・肉加工/パン | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 |
選定基準:2024年11月12日時点Google検索で100位まで検索した急速冷凍機26社のうち導入事例が多いメーカー5社をピックアップしました。