生鮮食品を輸送する場合、時間のかかる船便では冷凍物には不向きであり、また空輸では輸送コストが高いといった問題がありますが、急速冷凍を導入することでこれらの課題を解決できる場合も。ここでは、輸入・輸出業者の食材に関する悩みや課題についてまとめています。
食品の冷凍技術が発達する以前は常温物流が主流でしたが、生鮮食品や冷凍食品などを低温に保った状態で管理・流通させるコールドチェーン(低温物流)の登場により、採れたての鮮度に近い状態で消費者に食品を届けられるようになりました。
特に急速冷凍は高品質の状態を長時間維持できることから、船便による長時間の輸送にも向いており、低コスト且つ広域での流通が可能。海外でも需要の高い日本産の質の高い食材の輸出、大量購入した海外産の安価な生鮮食品の輸入など、輸出入双方において大きなメリットが得られます。加えて、コールドチェーンによる正確な温度管理は、常温物流に比べて品質管理がしやすいといったメリットもあります。
船便での長期間の輸送は、流通段階で食品が傷んでしまったり腐ってしまったりするというリスクがありますが、急速冷凍した食材であれば高い鮮度を長時間にわたって維持できるため、廃棄ロスの削減に繋がります。その結果、より多くの食品を消費者に届けることができるようになり、物流効率も向上することになるのです。
輸入・輸出業者にとって生鮮食品の輸出入における主な悩みは、やはり輸送コストと長期間の輸送による品質の低下にあるといえます。
急速冷凍をした食材であれば採れたてに近い状態を長期間保つことができますので、これらの課題を解決し、ビジネスチャンス拡大につながることが期待できます。
ただし、コールドチェーンの導入・確保には導入時の設備コストやランニングコスト、さらに国内外での冷蔵・冷凍庫の不足や、人材やトラックといった輸送リソース不足、輸出先での検疫・通関など、課題も多くあるようです。
福井県で「焼き芋の液体急速凍結テスト」を実施した事例です。サツマイモの状態で海外に輸出すると、生の野菜扱いとなるため厳しい規制がかかってしまい、どうしても思うような輸出ができない状況に。そこで焼き芋の状態に加工し、美味しい焼き芋を海外に輸出することになりました。しかし加工品扱いで規制は緩和されるものの、賞味期限や品質を保つことに課題が発生。急速冷凍機を活用した「凍眠」を行うことで、従来の冷凍技術よりも良好な品質を保てるようになり問題解決につながったそうです。
越前ガニを海外で流通させるためには、生鮮では流通コストが高額になるため、多くの方々に流通させるのは難しい状態と言えます。そのため液体流通凍結機である凍眠を活用することに。通常の冷凍であれば、カニは冷凍することでドリップが出てしまい、カニ本来の瑞々しさが失われ、身が細くなってしまいます。しかし凍眠で急速冷凍を行うことで、ドリップの発生が抑えられ、風味やカニ本来のぷりぷり感をキープしやすくなるでしょう。
東京オリンピックやイスラム教徒の訪日増加に対応できるよう、飲食店や宿泊施設でのハラルフードの需要は高まりつつあります。また日本の食材をイスラム圏への輸出もビジネス拡大のチャンスとなっているでしょう。劣化の早い食材を輸出するためにはチルド空輸であれば高コストがかかり、通常の冷凍技術では品質が劣ってしまうことも。凍眠の急速冷凍を行うことで、最高級の黒毛和牛や地鶏も変色やドリップがなく、風味・食感を損なわずに輸出可能になりました。
生シラスをいつでも気軽に食べられるよう、生シラスを急速冷凍機を活用して商品化。生シラス丼がいつでも提供できるようになり、飲食店の経営もしやすくなったそうです。また釣りの餌としても品質の良い状態がキープでき、可能性の幅が広がり、他社との差別化を図ることが出来ました。また、いろんな方面で試作を重ねながら、新たなビジネス拡大をしていくそうです。
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製品名 | 3Dフリーザー (KOGASUN(旧:古賀産業)) |
プロトン凍結 (菱豊フリーズシステムズ) |
トンネルフリーザー (タカハシガリレイ) |
リジョイスフリーザー (米田工機) |
凍眠 (テクニカン) |
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冷凍能力 | 6~400㎏/1時間 | 3~150㎏/1時間 | ※WEB上に情報なし | 1.5~100㎏/1時間 | 14~560㎏/1時間 |
導入事例 | 21件 | 10件 | 4件 | 17件 | 16件 |
設立 | 1969年 | 1999年 | 1960年 | 1973年 | 1988年 |
事例ありの 冷凍可能な食材 |
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