傷のついたいちごや規格外のいちごを無駄にしないため、また、一年を通して新鮮でおいしいいちごを流通させるため、近年、いちごを急速冷凍して販売する業者が増加しています。 ここでは、急速冷凍いちごの課題、課題解決事例、急速冷凍いちごのメリットなどをご紹介しています。
一般的な業務用冷凍庫などでいちごを冷凍した場合、いちごの細胞内に含まれる水分が膨張して細胞膜や細胞壁を破壊してしまいます。この状態のまま解凍すると、ドリップと呼ばれる汁が発生し、果汁が流出して味が劇的に劣化します。
また、いちごは「鮮やかな赤」も魅力の1つですが、一般的な冷凍・解凍を経たいちごは、とても美味しいといえる色ではありません。細胞を破壊せず、味も色合いも維持させながらいちごを冷凍するためには、急速冷凍などの特殊な冷凍法が必要です。
有機栽培によるこだわりのいちごを栽培・販売している株式会社ONE GO(久留米市)。廃棄するいちごの売上ロスを埋めるため冷凍いちごを考えたものの、一般的な冷凍方法では鮮度が維持できず、特有の氷臭さも出てしまっていました。
そこで同社は、株式会社コガサンの急速冷凍機3Dフリーザー®を導入。高鮮度の急速冷凍いちごをネット販売したところ、多くの購入者から好評を集め、売上の拡大につながっています。
JA富士宮経済部販売指導課と同JA苺部会は、2021年、コロナ禍におけるいちご農家の所得確保のため、いちご「きらび香」の急速冷凍加工を始めました。急速冷凍にかかる時間は1回50分ほど。1回の冷凍で約10~12kgの処理が可能です。冷凍中の時間は、次に処理するいちごのヘタ取りや時期作の育苗作業などを実施。作業分散による効率化にもつなげています。
コロナ禍をきっかけにした苦肉の策のアイディアでしたが、結果としてコロナの終息後にも活かされる大事な取り組みとなりました。
静岡県伊豆の国市にある江間いちご狩り組合は、高品質な「朝採れ冷凍いちご」の商品化を目指しています。同組合では、閑散期に生じる廃棄せざるを得ないいちごが長年の懸案でした。その有効活用の検討を重ね、補助金を活用して急速冷凍機を導入。摘みたての生いちごに限りなく近い食感・風味を維持する「朝採れ冷凍いちご」の商品化に向けて企画を推進中です。
商品化が実現して市場に認知されれば、食品ロスの削減やいちご農家の収益アップにつながると同組合では期待を寄せています。
いちごを急速冷凍することで細胞破壊を抑えられるため、採れたてのような鮮度の良い状態を長期間にわたり維持することができます。タイミングを図って冷凍いちごの在庫を放出することで、一年を通した安定的な売上につなげることができます。
消費者の視点から見ても、年中新鮮ないちごを食べられることは大きなメリットです。規格外の急速冷凍いちごを安価で購入すれば、ジャムやスムージー、焼き菓子など、様々な料理に活かして楽しむこともできます。急速冷凍いちごは、生産者と消費者のどちらにもメリットをもたらします。
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製品名 | 3Dフリーザー (KOGASUN(旧:古賀産業)) |
プロトン凍結 (菱豊フリーズシステムズ) |
トンネルフリーザー (タカハシガリレイ) |
リジョイスフリーザー (米田工機) |
凍眠 (テクニカン) |
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問い合わせ先 |
![]() 引用元HP:KOGASUN(旧:古賀産業) 公式 |
![]() 引用元HP:菱豊フリーズシステムズ 公式 |
![]() 引用元HP:タカハシガリレイ 公式 |
![]() 引用元HP:米田工機 公式 |
![]() 引用元HP:テクニカン 公式 |
冷凍能力 | 8~500㎏/1時間 | 3~300kg/1時間 | ※WEB上に情報なし | 1.5~100㎏/1時間 | 15~650kg/1時間 |
導入事例 | 41件 | 10件 | 17件 | 28件 | 22件 |
設立 | 1969年 | 1999年 | 1960年 | 1973年 | 1988年 |
事例ありの 冷凍可能な食材 |
魚・魚加工/肉・肉加工/菓子/惣菜/パン/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜 | 魚・魚加工/肉・肉加工/パン | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 | 魚・魚加工/肉・肉加工/惣菜/麺 |
選定基準:2024年11月12日時点Google検索で100位まで検索した急速冷凍機26社のうち導入事例が多いメーカー5社をピックアップしました。