病院が抱える食材の悩み・課題

病院食はおいしくないイメージがあり、提供する相手が患者ということも手伝って食品ロスの課題もあります。しかし病院食は患者それぞれに合わせて栄養を考えて提供されるため、食べられないことで治療に影響が出ることにもなります。病院食の課題が急速冷凍によって改善できることを解説します。

病院の食材に関する悩みや課題

病院食はおいしくない

病院食は調理してから患者のもとに配膳されるまでに時間がかかり、冷めてしまっていることが多いです。また栄養面はよく考えられていますが、盛り付けや彩りといったことには気を遣われていないことがあります。

最近では温冷配膳車を利用したり、おいしい病院食を提供しようと努力している病院も増えましたが、まだ病院食がおいしくないというイージを払拭できていないでしょう。

栄養失調をまねく恐れ

病院食は提供する相手が病気やケガで入院している人になります。そのため使える食材や調味料が限定されることもあり、外食のようにおいしさだけを追求できません。

ただし栄養面はしっかりと管理されていますので、病院食が口に合わず患者が食べ残しをしてしまうと必要な栄養素が摂れずに栄養失調をまねく恐れもあります。さらに食べ残しによる食品ロスの問題にも繋がります。

調理に時間がかかる

病院食は患者1人ひとりの治療にも関係してくるため、栄養素や塩分・糖分なども考慮してメニューを考えています。全員同じメニューという訳にはいかず調理に時間がかかってしまいます。

提供する時間は1日3食きっちり決まっている中で行うため、調理スタッフに大きな負担がかかります。

労働力不足

病院給食制度により保険給付の問題などから限られた食材費でまかなう必要がある中で、全体的に病院給食部門は赤字になっていることが多くあります。

しかも調理師や調理スタッフの人材不足は深刻であり、病院食の現場はさらに過酷な状況に。さらに管理栄養士も診療報酬における役割が変わったことで、より高い専門性が求められるようになり、人材育成も含めて課題となっています。

病院の食材の悩み・課題を解決する急速冷凍機

 おいしい料理の提供

これまでは肉じゃがや筑前になどの煮物や、ホウレン草のおひたしなど茹でた葉物など、冷凍するとおいしくないのが常識でした。しかし急速冷凍をすることで、根菜類の食感を残しておいしく提供できるようになり、ホウレン草などの葉物野菜も鮮やかな色のまま解凍できます。

急速に冷凍する技術により解凍した際の食感や色をそのまま再現でき、おいしい病院食の提供が可能になります。

適切な温度管理

急速冷凍の導入により、調理した食事を短時間で冷却し、衛生的で効率の良い食事が提供できます。急速冷凍機があれば保存している調理済みの料理はチルド状態ですので、先に盛り付けておいてから再加熱して提供できるのです。

再加熱のタイミングを調整することができ、温かい状態で食事を提供することができるようになります。

調理時間の短縮

作った料理を急速冷凍して保存できるため、調理時間を選ばなくなり提供する時間に追われることがなくなります。提供する際には、事前に盛り付けておき再加熱するだけなので、作業時間が短縮でき調理スタッフの負担軽減にもなります。

コスト削減

病院食は1日3食、365日提供する必要があります。それが、急速冷凍機を導入することでその都度、時間までに調理する必要がなくなるため食品ロスが出にくくなります。調理スタッフも予定して配置できるので余裕ができ、食材費や人件費のコスト削減に繋がります。

急速冷凍機を導入することで悩みを解決した事例

城山病院の導入事例

入院患者の多くが高齢者で、昼は併設のデイケアや複合型事業所の食事提供もあり、栄養科の調理作業が課題だった城山病院。粗熱取りや急速冷凍を導入したところ、誤嚥しにくい調理法やメニュー開発の幅が広がりました。食品ロスが減っただけでなく作業効率も上がり、調理スタッフの士気も上がりました。

参照元：フクシマガリレイ | ヘルスケア・レストラン（2016年1月号 Vol.23）
（https://www.galilei.co.jp/wp/wp-content/themes/mod/asset/img/solution/case/pdf/business/vol23.pdf）

沖縄協同病院の事例

移転し280床の近代的な設備に生まれ変わった沖縄共同病院では、調理システムも刷新しました。調理した料理を急速冷却して保管し、専用食器で加熱して提供するようにしたことで、より衛生的でおいしい病院食の提供が可能になりました。

作った料理を急速に冷やすことで雑菌の発生を防ぎ、チルド保管することで料理の風味を損なわずにキープできるようになりました。

参照元：E-waja | 沖縄協同病院
（https://www.okiden.co.jp/business/e-waja/case/hospital/kyoudou.html）